黒部・宇奈月温泉観光局(富山県黒部市)は、宇奈月温泉開湯100周年を記念し、「宇奈月温泉木管事件」をモチーフとした「権利ノ濫用(らんよう)除お守り」を制作=写真、8日から市芸術創造センターで授与を始めた。
同事件は民事裁判史に残る重大事件とされる。大正12年、宇奈月温泉では黒部川上流の黒薙温泉から源泉を運ぶため引湯木管が敷かれた。しかし、この木管のわずかの部分が所有者に無断で通っていた。この土地の買い主は時価の数十倍という値段で温泉の経営会社に買収を迫り、拒否されると木管撤去を求めて提訴した。
大陪審(現最高裁)は原告の訴えを棄却し、この時、判決文で初めて「権利の乱用」という文言が使われた。民放一条三項「権利濫用の禁止」が制定されるきっかけになったとされる。
このお守りはパワハラやセクハラ、嫌がらせやいじめなど、立場を利用して自分に害を与える人やことを除いてくれる。「肌身離さず携帯することで、いい人・環境・縁に恵まれるよう宇奈月神社で祈祷している」という。初穂料は1300円。
同局は「宇奈月温泉の歴史を知ってもらいたいという思いや、法律関係の方へのお土産に、また、権利の乱用に困っている人のためになれば」と話している。